2013年01月08日

汚電話

公衆電話。最近見かけない。あるんだろうけど、ここ10年ほぼ脳内から存在が消されている。しかし、ふとした瞬間に公衆電話が目に入ると、どうしても思い出してしまう話がある。

今から遡ること約15年ほど前。まだだんながマレーシアで、上下真っ白な制服着て高校生やってた頃のこと。
学校帰り、家に電話をする用事を思い出しただんな。しかし当時携帯電話を持っていなかった彼は、公衆電話を探すことに。少し歩くと、すぐに電話ボックスが見つかる。ポケットからコインを取出し受話器を取る。

・・・あれ、なにこの感じ。

受話器を取った瞬間に違和感を感じた旦那。すぐに原因に気付く。受話器が電話機とつながってない。無残にぶっち切られたコードが、だんなの手に握られた受話器から空しく垂れている。道理で軽いわけだ。

なぜコードが切られているのか。誰になんの得があるのか。けっこう硬いのにどうやって切ったのか。果たしてそこまでして切断した意味とは。が、マレーシアでそんなことを考えていたら、たぶん脳みそが不毛な疑問でたぷんたぷんになってしまう。
しかたなく受話器を元に戻すと、コインをポケットにしまい、他の公衆電話を探して再び歩き始める。

しばらくすると、また電話ボックスが。しかし今度は立ち止まる必要すらなかった。なぜなら電話がないから。もはやただのボックスである。
ああ、また盗まれてるな、と空のボックスを横目に次の電話ボックスを探すだんな。

三度目の正直。すぐ先にある電話ボックスに駆け寄るだんな。
電話もある。受話器もつながってる。
よし、これなら大丈夫、と喜び勇んでコインを投入。チャリン、と小気味いい音が響く。俺が聞きたかったのはこの音だ!とテンションもうなぎ上り。

そして、いざ、ボタンをプッシュ・・・!
しかし次の瞬間、だんなの指がぴたりと止まる。
炎天下の中を歩き回って、あれほどまでに探し求めた公衆電話。ゴールはすぐそこである。もういい加減、俺に電話を掛けさせてくれ!ってきっと思っていたに違いない。しかし、そんな彼の衝動さえをも凍りつかせたもの。彼の目に映ったソレ。

ボタンに不自然にこびりついた茶色い何か。
間違いない。あれだ。

そう、ボタンにうんこついていたんである。

かんかんと照り付ける南国の太陽。道端にはハイビスカスが誇らしげに咲いている。
しかし少年の表情は暗雲がかかったかのように暗くどんよりとしている。心は完全に萎えていた。

なんでよ・・・。なんでうんこよ・・・。誰よ・・・。どういう状況よ・・・。え、なに、下痢・・・?なんでよ・・・ほんと・・・。

永遠に答えの出ない疑問が、彼の中で堂々巡りをしていた。それはボタンのうんこよろしく、彼の頭にこびりついていた。

彼は静かに受話器を置くと、うんこ電話に背を向け、ゆっくりと自宅に向かって歩き始めた。
もう、電話を探すのは、やめよう。そう心に誓って。

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posted by しゃちま at 23:48| だんな | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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