2013年01月13日

『和僑』読了

『和僑』読了。面白くて一気に読んでしまった。ツイッターで情報が流れてきて、発売前から気になっていた。ケチなのでハードカバーは滅多に買わないのだが、無理して買ってよかった。どんだけビンボーだ。結果的に去年最後の本になったのだが、最後の最後に大当たりを引いたという感じで、とっても満足している。
 
内容は、様々な形で中国と関わる、または中国で暮らしている日本人、「華僑」ならぬ「和僑」たちの姿を追ったルポタージュ。

本書に登場する日本人たちは、雲南の山奥の村に少数民族の奥さんと住んでいる2ちゃんねらーや、マカオの風俗店で働いていたキレイなお姉さん、日経企業の上海駐在員などなど、実に多種多様。

 
中でも最も印象に残ったのは、日中友好協会を扱った章。

この章では、元日中友好協会会員だったものの、現在はネトウヨ的な反中思想に身を転じた女性の半生が取り上げられている。

彼女のインタビューや、日中友好協会への電話取材を通じて、最終的には政治的側面を持つ「中華人民共和国」と、そうでない「中国」という二つの概念の違いを浮き彫りにしていく。そしてその二つの概念を熟慮しないまま「日中友好」という言葉を掲げて活動している、日中友好協会の思想的な基盤の脆弱さを突く。

 
これは友好協会のお膝元の学校に3年間通った身としては、少なからず耳の痛い話でもあった。

だが確かに、この「日中友好」という、なんともとらえどころの無い言葉に漠然とした違和感を感じていたのも事実で、「中華人民共和国」と「中国」は別モノであるという指摘には、ハッと気付かされるものがあった。そしてなんだか長年「日中友好」という言葉にかかっていた薄雲が晴れた気がした。

正に痛いところと痒いところを同時に突かれた、というのが正直な感想だ。

全くの余談だが、学校のスローガンが「学好中国话,为日中友好起桥梁作用(中国語を勉強して、日中友好の架け橋になろう)」だったのだが、これを見るたびに中国人の元カレが「この中国語、変」と言い、さらに梁という留学生が「『梁』の字が間違ってる!俺の名字を間違えるな」と言っていたのが妙におかしくて、未だに思い出す。


本の感想に戻る。他にも「中国という国は昔から、善と悪の境が曖昧な国である」という一文や、「彼らには中華人民共和国国民や中国人だという自覚はない」という、少数民族の人たちのアイデンティティに触れた部分も、思わずぽんと膝を打ってしまうほど納得した。これらのことも、前職の仕事柄、様々な地域の何百人、何千人という中国人たちに触れてきた経験から、私自身も肌で感じていたことである。

その他の章に登場する日本人たちも、みな一様に一癖も二癖もあるの方々ばかりで、その生き方とエネルギーには圧倒されてしまった。
中国を大海に例えるならば、私なんぞは砂浜でヘリに捕まって、遥か先の地平線をビクビク眺めながら足先をぴちゃぴちゃ付けている程度である。だが本書の和僑たちは違う。身一つで飛び込み、溺れることなく、「自分」というものを貫いている。それどころか、あわよくば中国という大海から様々なものをもぎ取ろうとしている。どの人たちも、そのブレなさが、メタメタかっちょいいのである。

和僑たちの生き方を通し中国を様々な側面から掘り下げた本著は、何らかの形で中国に長く関わってきた人間ならば、必ずや感じ入るところがあるだろう。
中国という国も、中国人という人々も、一面的に捉えるには無理がありすぎるということを、少なからず実感値として知っているから。
またそうでない人たちにとっても、今の中国を知るのにとても有用な一冊だと思う。

なんだかステマの如き褒めちぎり。散文的でしたが以上です。おススメです。今A田女士に貸してあるので、読みたい人は又貸しか密林でヨロシク。


和僑    農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日本人 [単行本] / 安田 峰俊 (著); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊)
和僑 農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日本人 [単行本] / 安田 峰俊 (著); 角川書店(角川グループパブリッシング) (刊) 1,890円 Amazon.co.jp

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posted by しゃちま at 14:53| ブログ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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